「誤解を愉しみ、曲解を味わえ」
某日。医療現場には不要の色香とともに、女流義太夫三味線奏者の鶴澤寛也師匠来臨。いかにも玄人好みの鈍色(にびいろ)のお召をご着用。
鈍色・・・、つまり限りなく黒に近い灰色っていうかなあ・・。TAMIYA的には「ガンメタ」って言えば早いのだけれど。(お着物の記述、極めて自信無し。ご本人からの訂正を待ちたい)
寛也師匠から波瀾万丈の日常と抱腹絶倒の近況を伺う。聞いてすぐに書くと怒られるのでここには書かない。折りを見て(隙を見て)いずれ。
当然ながら寛也師匠の出現は、他の患者さんやスタッフさんの視線を釘付けにするたろうと、師匠が帰ったあと、「どちらの方?」って訊かれた時のため、「神楽坂の三味線の師匠」って答えを用意していた。
「学生時代の歌舞伎仲間で現在は義太夫三味線の継承者。神楽坂に稽古場がある」
をわざと誤解されるように「神楽坂の三味線の師匠」と省略して言ったのだ(僕は趣味が悪い)。
「もしかして芸妓さん?」
とでも言っていただければ大成功(僕はすごく趣味が悪い)。
「誤解を愉しみ、曲解を味わえ」
って名言を遺したのは寺田寅彦だったっけ? いや俺だ。
ところが、わがスタッフさんや入院仲間諸兄姉は、他の見舞い客を詮索するようなはしたないことはしない。
蕃茄山人、いつもの「セーフティーバントの空振り」であった。
寛也師匠、お忙しいなか、ありがとうございました。ツレが会いたがってました。