夏の浪速の芸尽くし(6) 梅田の地下街


〔8月7日の日記 その2〕


そういうわけで、待ち合わせの時間が迫っていた!!


突然ですが旅の終わりです。


正確に言うと「一人旅」はここまでで、ここからは「華族旅行」、じゃなくて「家族旅行」となる。


待ち合わせは正午に「阪神百貨店地下のマクドの前」。断じて「マックの前」ではない。アップル社の回し者じゃないんだから。


この「阪神百貨店地下のマクドの前」、正確には「梅田の地下街の阪神百貨店の前」は僕にとって思い出の場所だ。かつて出張族の時、ここで演奏するストリート・ミュージシャンを追っかけていたのだ。その名は「エグザイル」。このことは以前にも書いた。このエグザイルを巡る秘話に興味のある方はこちらをご覧ください。


ここで待ち合わせて昼食となるわけだが、土曜の昼である。とにかく込んでいる。込んでいる上にターミナルである大阪駅が近いのでキャリーバッグを曳いた輩が多い。たびたび轢かれそうになる。轢いたら蹴るからな、と剣呑な気分になる。


早めに着いたのでちょっと阪神百貨店のレストラン街を覗いてみたのだが、それこそ中高年の佃煮ができるほど込んでいる。どの店も長蛇の列。こりゃいかんわ。


ふたたび「地下・マクド」の前に下りて待つこと数分。「大・中・小」の人影がやってくるのが見えた。ツレと長女・花子(仮名・17歳)、次男・三吉(仮名・13歳)の3人だ。

長男・虎太郎(仮名・20歳)は不参加。用事があるという。何の用事か問うたら「“鬼の居ぬ間の洗濯”をしなくちゃならない」そうだ。なるほど、それは大事だ。


さて揃ったところで飯にしよう。阪神百貨店は激込み、かといって地上に出ると暑い。地下街で食おう。


大阪は地下街が異様に発達している。多分、東京以上。梅田随一の地下街「ホワイティ」に行こう。あそこなら飲食店がたくさんある。先導して歩き始めたら後ろでガラガラ音がする。わが娘もキャリーバッグを引っ張ってやがった。轢いたら蹴るからな。


「ホワイティ」も思い出の場所だ。ずっと以前、花子が迷子になったのだ。

どのくらい以前かと言うと三吉がツレのおなかにいるときだから、花子が三歳のころ、かれこれ14年前だ。ホワイティの和食店で親子丼の取り合いから花子と虎太郎が喧嘩になり、ツレに叱られたら花子が逆ギレして走り出して迷子になってしまったのだ(その時、僕は所用でいなかったので後で聞いた)。

声を嗄らして探したが見つからず、警察に行こうかと思ったところに(なんとこの地下街には曽根崎警察署が地下で直結している。便利)、イギリス人の青年が走ってきて「彼女は○○にいる」と教えてくれたという。英語で。そして花子はその場所で泣いていたという。

なぜ彼が花子の迷子を知っていたか、本当に彼の英語が通じたのか、だいたいなぜ彼がイギリス人とわかったか、などこの話には謎は多い。その辺をツレに訊いても要領を得ない。さらに問い質すと、

多分、彼は神様だったのよ」

とのことだった。


それはともかく「ホワイティ」で昼食である。飲食店は無数にあるが、小さい店が多い。どこにしようかなと思ったところにあったのが「卵と私」。全国チェーンのオムライス屋さんである。ちょうど4人がけのボックスが空いている。「ここにしよう」と僕以外の3人の声が揃った

えー、せっかくだからもっと別のものにしようよ。この先にトンカツのKYK(ローカルチェーン)もあるし・・・。大体、おれはオムライスってのが好きじゃないんだよ。大の男が食うものじゃない、“女子供”が食うものだろう。って、敵は女と子供である。抵抗の仕様がない。


また、腹が立つことにこれが旨いんだ。まぁ、カツは前日にたっぷり食べてるしね。残さずいただきましたたよ、もちろん。



とまぁ、こういうわけで2日ぶりに家族と会って昼食をともにしたというのに、ここでまた分裂して別れ別れになる門出なのであるが、続きはまた明日、か明後日、か明々後日。


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※オムライスの取り合いで喧嘩になったのだと面白いのだけど、残念ながら違います。